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夢を見た [ファンタジー]


夢を見た

夢を見た

  • 作者: 岸 浩史
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2011/04/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


夢…。
夢を見ている。
そこは実家の屋上の物干し台。
無音の世界。ぼんやりと薄明るいそこは、
どこか月に降り立った宇宙飛行士のような、これまたぼんやりとした歩き心地。
ふと
「飛べるんじゃないかな?」
と思った瞬間
私の体はふんわりと宙を泳ぎ、
微妙に地に足が着かない程度のぼんやり浮いた状態で
慌ててバランスを取ろうと手足をばたつかせる。
奇妙な浮遊感だった。
小心者のせいか、豪快に飛ぶ思い切りの良さも無く、
ただ浮いてしまった自分の体に「うわ うわ うわ…」と慌てただけの夢。
折角だからもっと気持ちよく飛んでみればよかったと後悔したのを憶えてる。

本日は「夢」のお話。
将来の展望とか「I have a dream」じゃなく、
大抵は目覚めと共に朝陽に溶けて消えてしまう「夢」を
マンガという形で私たちに提示する、なんとも不思議な作品をご紹介します。

小説推理にて連載。2007年から連載がスタートし、
1回2~3ページのペースで4年をかけて単行本として纏められた本になります。
著者の岸浩史さんは20代の最後の年に過労で倒れ、
以降長い間両手の人差し指と親指が動かなくなる謎の後遺症に苦しんだそうです。
不安の中で度々見る悪夢…
思わず目が覚めて、しかし自分の指を見るたび「現実の方がよほど悪夢に思えた」と
苦しむ日々を送る岸さんは、悔しくてその夢を漫画にすることにしたそうです。
断片的な夢のかけら、それを他人に伝わるように再構成した作品。
それが本書ということになります。
「素晴らしい右脳の持ち主、現る!これは漫画でありながらアートです」
という推薦文が躍る帯。
私が初めて本屋で手に取った時は正直困惑してしまいました。(;´▽`A``
ぐるりを見てもこれがどんな雰囲気の漫画なのか
面白そうなのかつまらなさそうなのか、どんな物語なのか皆目検討がつかなかったからです。
推薦文を読んでも私の頭にはうすらぼんやりとした掴みどころのない印象しか残らず
一旦はスルーしてしまいました。しかしその後Twitterでご覧になった方からお薦めされ、
思い直して読んでみた次第です。
これをブログという文字媒体でうまくお伝えできるのか…
やってみようと思います。

しんしんと雪が降る住宅街―
一人ダウンジャケットを着こんで静寂の街を歩く僕。
ふと肩口を見やると、羽毛のようなものが舞っている…
と思ったら腕部分のジャケットを内側から突き破り、
中から真っ白な羽毛のガチョウがひょっこり顔をのぞかせる。
それが皮切りのようにジャケットのあちこちが盛り上がり、
あれよあれよという間にジャケットを千切りながら次々と飛び出てくる。
一斉に空一面に飛び立つガチョウたち。
僕も彼らにつけた紐を握って、彼方にオーロラがゆらめき、
矢のように雪原を一直線に走る鹿の群れを追うように飛ぶ―

第一話を文章にするとこんなカンジになります。
夢は多分にビジュアル的なもので、本書も殆どがビジュアルの要素が大きいので
皆さんのご想像にお任せするしかないのですが、このマンガの面白みは
この とある日常からスタートして、しりとりのように次から次へと連続して
いつの間にやら非現実の世界に飛躍している「夢」ならではのダイナミズムでしょうか。

img032.jpg

それはある小さなものに目を留めて、ふとそこから周りを見渡すといつの間にやら
世界が変わっているというダイナミズムだったり、
校舎の屋上から放った紙飛行機が空に「ぶつかり」、そこからジグソーパズルが崩れるように
ぽろぽろと崩壊していく書き割りの空だったり、跳び箱に苦手意識のあるある「僕」が、
膝を震わせながら、でも逃げることもできず
はるか天高く積まれた跳び箱に絶望的な気持ちで挑む悪夢だったりと、
いつもの日常からスタートした夢は、突然ほころびを見せて一気に現実感を喪失するのです。

img033.jpg

私は始め「この夢を見た岸さんは、きっと当時こういう心理状態だったんじゃないか」
みたいな分析をしようとして、疲れただけで終わってしまいました。(;´▽`A``
これはマンガという、ある程度筋道を補完して他人に通じやすいように描かれてはいますが、
やっぱりその本質は筋の無い「夢」であって「詩」ではないのです。
だから私と同じようにピンとこなかったとしたら、そこで考え込まずに次へと進み、
一周巡って岸さんが幕間に挟む
「僕が夢を描く理由」
という2ページの短いコラムを含めて読んだ上で、改めてこの作品を見返してみると
徐々にこのマンガの自分なりの楽しみ方に馴染んでいけると思います。
ちなみに私はカレーよろしくワケが解らず、とりあえず2日ほど寝かしてようやく
ブログでご紹介してみようという心境に至りました(;´▽`A``
頭かたいんだ これが。

今回の本は とりわけ没頭できる環境で読むことを強く推奨いたしますよ。


岸浩史さんのblog → これが私のまんが道
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