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わずかいっちょまえ [ハートフル]


わずかいっちょまえ 1 (少年キャプテンコミックススペシャル)

わずかいっちょまえ 1 (少年キャプテンコミックススペシャル)

  • 作者: 星里 もちる
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 1991/03
  • メディア: 単行本


マッハ号!! きてよマッハ号!!
雨の中ごめん!! でもきてよ!! きてよマッハ号!!


遊川和好(ゆかわわずか)はいつもがまんをしている少女だった。
母子家庭で仕事で家を空けがちな母に心配をかけさせまいと、
母からの電話には友達が家に遊びに来ているかのように振る舞い、
必死に勉強をしなくても常にトップの成績を修める優等生のわずかは、
クラスでもちょっと浮いた存在だった…
小学校時代からいつも数人で自分を「優等生」だと馬鹿にしては
酷い悪戯をしていく同級生の太一とも中学で同じクラスになり、
そしてそれらの寂しいこと、つらいことを受け止めてくれていた愛犬・マッハ号も
事故に遭って今は亡く…。
わずかの孤独感は日に日に膨らんでいくばかりだった。
そんな様子を天界で見ていたマッハ号は、わずかちゃんのため
神様に頼み込んで期間限定で地上に降り立つ。
しかし偶然太一たちにいじめられていた わずかの助けに入ったのは、
二本足で立ち、まるで人間のように話すネズミ(ウォンバット)。
しかもあろうことかそいつは自分を「マッハ号」だと名乗り、
突然のことに出るタイミングを逸した本物のマッハ号は、唖然呆然とするのだった…

少年キャプテンにて連載。全1巻。
本日もTwitterにてマンガ好きの方の呟きから出会えたマンガをご紹介します。
星里もちるさんと言えば、これまた私はお名前だけ知っているものの
今回初めて作品を拝見したのですが、それまでの印象は可愛い絵柄で
ヒット作「りびんぐゲーム」に代表されるようなラブコメ的な物語を描く
著者さんだという印象がありました。
しかしながらその中に社会風刺的な要素を入れ込んである作品も少なからずあるようです。
この作品も当時の掲載雑誌は少年誌ですが、進学校で知られる中学に進んだ
わずかちゃんと太一が、周囲の受験競争真っ只中の雰囲気に呑み込まれる様子が
重要なファクターとして存在します。

主人公の…というかヒロインのわずかちゃんは中学に上がったばかりの女の子。
しかも母子家庭で忙しい母親に代わって家事をし、その合間に塾に通いながら
勉強もしているしっかり者なのです。
母親からの電話でも、近所のおばさんにも、ましてや事あるごとにいじめてくる太一にも
寂しいところを見せないわずかちゃんは、しかしやっぱり心の中では年相応に
母親に甘えてわがままも言いたいし、クラスの周囲が激しい点取り争いをする中、
常にトップの成績をとれてしまうこともあってそれが却って彼女を孤立させているのです。
唯一心を許せた犬のマッハ号にまで死なれ、わずかちゃんの心は決壊寸前…
そういった様子を実に巧みに、小奇麗だががらんとした家で一人で食事をしている姿や、
電話口でわずかちゃんを心配する母親の言葉に努めて明るく
「へーきだよ」と言ってみせる姿、かといえば愛犬が眠る墓前で一人忍び泣く姿など、
本当に多くの日常のわずかちゃんのエピソードを積み重ねて
読んでるこちらの心をぎゅうっと締め付けてくれるんですよ。

img986.jpg

そしてそんな彼女の様子を影から見守り、不器用に手を差し伸べようと奮闘するのが3人のナイト。
死んだものの神様にお願いして地上に期間限定で降りてきたマッハ号の幽霊と、
気がついたら人語が喋れ、人としての知識とついでにクレジットカードまで持っているウォンバット、
そして小学校時代からわずかちゃんに散々酷いことをしたものの、実は好きの裏返しという太一。
この3人(1人と1頭と1匹?)が、お互いにあれやこれやと わずかちゃんのピンチに駆けつけ、
コミカルに、でも彼ららしいやり方で圧し潰されそうな わずかちゃんの心を支えようと
躍起になる姿がびりびりーっとシビれるくらいカッコイイんです!
特に太一は誰よりもわずかちゃんに頼られ、彼女の孤独の深さを知るマッハ号との会話や、
わずかちゃんに次ぐ優秀な成績を常に占めることができてしまうことで同じ孤独を知り、
身近でわずかちゃんが心を許せる唯一の大人として登場する先生とのやり取りを経ながら、
わずかちゃんからは憎まれ口を叩かれつつも、陰ながら力になろうとするようになっていくのです。
他のマンガレビューさんの感想(※話しの詳細なネタバレあり)では
「魔女の宅急便」と重ね合わせている方もいらっしゃいましたが、なるほどなあと納得できました。

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少年誌でこんなドラマをやってしまうとは!しかも1冊でこんなに完膚なきまでの
完成されたマンガにはなかなかお目にかかれません。
星里もちるさんの他のファンの方の間でもこの作品を熱烈に支持される方が少なくない印象を受けます。
新品では手に入りづらいかと思いますが、是非ご一読を!


星里もちるさんのblog → 新・もちる日記
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サワダ

星里もちるは僕の中では鉄板作家ですね〜。
現在「光速シスター」が継続中ですが、ご本人もTwitterをやっており、感想投げると返事くれるんで、めっさうれしいですw
by サワダ (2011-04-07 09:34) 

meriesan

いやあ衝撃的でしたね~ 私もちらりともちるさんのTweet拝見しましたが、丁寧なお人柄だということをひしひしと感じましたヽ(‘ ∇‘ )ノ
by meriesan (2011-04-08 01:14) 

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