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そんな未来はウソである [コメディ]


そんな未来はウソである(1) (KCデラックス)

そんな未来はウソである(1) (KCデラックス)

  • 作者: 桜場 コハル
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/03/04
  • メディア: コミック



この方のマンガの面白みは一言で言うと「ディスコミュニケーション」ではないかと思います。
一人は目が合うとその人の未来が少し見えてしまう少女。
一人は他人がウソを言うとすぐにわかってしまう少女。
互いに特異な能力を持ち、それをそれぞれ周囲からひた隠しにしようとする二人。
高校入学したての教室で、何気なく会話が始まった初対面のシーンで、
自分の能力がバレないように喋ろうとして、慎重に慎重を重ね頭の中でぐるぐるぐるぐる考えて、
やっと口から押し出すように発したそれは、あまりにも断片的なセリフ。
相手もそれを二言三言確認の質問をすればよいのに勝手な解釈をしてしまう。
この作品はそのAと発言した言葉が何故かBと受け取られてしまうおかしさ。
そして振り返ってみれば当初の目的地とは
あまりにもかけ離れた地点にやってきてしまったことに
「どうしてこーなった!?」と愕然とすること請け合いの掛け合いマンガをご紹介します。


別冊少年マガジンにて連載。
「今日の5の2」や「みなみけ」など、可愛らしい絵柄の少年少女が
妙にシュールな会話劇を繰り広げる桜場コハルさんの作品です。
これ…なかなか面白みを説明するのが難しそうで、好きなマンガ家さんなんだけど
今までご紹介を敬遠していたんですよね。(;´▽`A``
「ギャグを解説する」ことは実に虚しく、「何故面白いのか」が何となく理解いただけたとしても
おかしくて笑ってくれるものでもないので微妙なのですが、
しかし新連載の1巻発売で良いタイミングだと思ったので頑張ってみようと思います。

目が合うと相手の未来が少しだけ視えてしまう大橋ミツキと、
相手のウソがすぐに判ってしまう佐藤アカネ。
そしてその能力ゆえか、元々なのか、時折謎めいた発言をする少しズレた彼女たち。
そしてそれに振り回されるノーマルな…けれどやっぱり独特の感性をもつ友人たち。
とある発言に対して相手が変な受け取り方をして突飛な行動を取る。
それだけならナンセンスなギャグマンガあたりでならよくある手法ですが、
これで更にひとつ捻ってあるのが、発言に至るまでの思考のプロセスを、
心の中のセリフとして描いているところ。

例えば、友人同士になれそうな雰囲気はあるものの、
まだ互いに相手が特殊能力を持っていることを知らない頃の二人の会話―
「私は人と目が合うとその人の未来が少し見えちゃうから…」
話しの流れで自分の特殊能力を思い切って告白するミツキ。
普通なら冗談を言ってるのか、電波ちゃんなのかと疑うところですが
アカネは意外にもあっさりとそれを信用します。
なぜなら、アカネがウソを見破る能力をもっており、その発言には
ウソを感じなかったからなのですが、
まだそれを知らないミツキはあまりにあっさりと受け容れるアカネに
(なんでこの人はあっさりと信用するんだろう)
とかえって混乱することになります。結局それに対してミツキが導き出した答えは
(きっとこの人は人の言葉を信じてしまうとても正直な人…きっとダマされやすい人なんだ)
と、「今まで数多く騙されて傷ついてきたであろうアカネ」という解釈をすることになります。
そしてミツキは
「私は絶対友達にウソをつかない(から友達になりましょう)」といいます。
するとアカネは一拍の間を置いた後、ミツキにこういいます。
「…何で私がウソが判ることわかったの?」

セリフ部分だけを抜き出すと実に断片的な会話です。
しかしその間を埋める重要なプロセスは、本人の心の中の言葉で相手に伝わっていません。
そういった仕掛けを施すことにより、発言者の意図とは大きく異なって
聴き手のキャラクターにミスリードさせる。更に話が進んでキャラクターの性格が
私達読者に浸透する頃合になると、ある意味説明口調とも言える心の声が無くなって、
相変わらずの断片的なセリフを、聴いた相手のキャラクターがどう受け止めたか
表情などで察することができるようになってきます。桜場さんのマンガの肝はそこにあると思います。

私達はキャラクターが何故そんな発言をするに至ったのかのプロセスも読んでいるので
何となく理解できているだけに、発言した人の意図とは
全く違う受け取り方をする「ズレ」の部分と、あまりにも相手が自信たっぷりに
ズレた解釈を返してくるため、ポカーンと呆気にとられる様子が
読んでいてクスリとさせられるんです。

お話は互いの能力を知り、友人同士となった二人と、
お菓子が大好きで、その執着っぷりは周囲に一目置かれている江口さん。
そして大橋ミツキの「将来結婚する運命の相手」で、
とあることから何かとミツキとくっつけようとするアカネに振り回される高山君。
更には高山君を自分に惚れさせようとアタックをかけてくる白石マドカなど、
(あまりそういう雰囲気ではありませんが)ラブコメ的要素もあります。
一見背景があまりに少なく、キャラクターのアングルとセリフだけの真っ白いマンガですが、
落語のように練りこまれた会話劇であるこのマンガでは、
余計なものを削ぎ落とした姿なのだと思えます。

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コメント 4

サワダ

これ面白そうですね。買ってみるか。
by サワダ (2011-03-06 12:27) 

meriesan

お、読んでみてくださいよ~ヽ(‘ ∇‘ )ノ
by meriesan (2011-03-06 16:35) 

サワダ

思ってた以上に面白かった。
続きが楽しみですね。
by サワダ (2011-03-19 00:07) 

meriesan

お気に召しましたか。わっふ~ヽ(‘ ∇‘ )ノ
by meriesan (2011-03-25 04:50) 

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