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蠢太郎 [青春/自分探し]


蠢太郎 (ビッグコミックススペシャル)

蠢太郎 (ビッグコミックススペシャル)

  • 作者: 村上 もとか
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2011/06/24
  • メディア: コミック


でもお父っつぁん、あたしには聞こえるんだ。
煌びやかなるまつりごとも 静謐なる祭祀も、奈落の底からすべてを回す音が…


激動の明治。
垢じみたボロをまとった旅芸人の親子が、何かに追われる様に西へ西へと旅をする。
親は30を少し過ぎたところだろうか、子は6つの年端もいかぬ幼子だが
いずれもうす汚れた顔におしろいを塗り一張羅を着て踊れば、その端正な顔立ちと美しい舞で
行く先々の町でその日の飯にありつけた。
そしていくつもの山を越え、海岸を歩き、ついに長い長い旅は終焉を迎える…
「つ…着いた 着いたよ…」
親は子を顧み、目の前に開けたどこまでも続く家々が建ち並ぶ長大な街―「京の都」を指し示す。
ここが江戸で鳴らした歌舞伎の女形・中村鶴吉の子、蠢太郎(じゅんたろう)の
決して歴史の表舞台には顕れない明治の秘奥に関わる宿命の地となるのだった―

ビッグコミックオリジナルにて連載。全1巻。
幕末にタイムスリップした医師の物語「JIN-仁-」が、昨年 10年にわたる連載を完結した
村上もとかさんの新作となります。
男性でありながら女性よりも女らしいと言われる、歌舞伎の女形「中村蠢太郎」。
維新の名の下に活気あふれる新たな政府の影で、人知れず隠された裏の歴史と
それに関わる人々を蠢太郎を通して描く歴史ロマンとなっています。
いやあ「京の都」と「秘密」の取り合わせってそれだけでシビれますねえ。
「政府」と「秘密」はありがちですけど、「やんごとなきお方」なんてワードが出てくれば
それだけでご飯が進みますわー

恥ずかしながら今だJIN-仁-を拝見したことが無く、これが氏の初めて読むマンガとなったのですが、
さすがのリアリティに唸らされました。
大政奉還を経て天皇が去った京の都。
それと呼応するかのように歌舞伎座はかつての繁栄を失い、蠢太郎親子は祖父の縁故を頼って
東の芝居と呼ばれる歌舞伎座に身を寄せます。
私は歌舞伎のことについてはサッパリ知識が無いのですが(;´▽`A``
そこで描かれる歌舞伎座を中心とする街並みや、舞台、控えの間、厠に至るまで
実に写実的に描かれているんですね。
マンガでたまに見かける、太い柱を屈強な男達が輪になってぐーるぐーる回してる光景が
役者を舞台の下から上にせり出させる舞台装置の一部だったって知ったときには、
実はこの光景は物語のテーマの重要なシーンなんですが、
ただの地獄の罰ゲームじゃなかったんだという感動の方が優ったりしてしまいました(;´▽`A``

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京の都で人知れず、日の本とその民の安寧を祈り続ける「もう一人の帝」。
「踊る内閣」などと叩かれながらも日本背負って立つ初代総理大臣・伊藤博文の人知れない苦悩。
後に明治を代表する芸妓となった川上貞奴(かわかみさだやっこ)は、
蠢太郎と同じ一流の芸を持ち、互いに深く理解しあいながらも蠢太郎とは対照的に
歴史の表舞台に躍り出ていきます。
そして蠢太郎親子を力強く支えてくれる裏社会の大旦那。
片腕と両足を失い、残った片腕は指一本のみというその姿ながらも
美貌と鬼気迫る妖艶な舞で父・鶴吉にひけをとらない人気を誇り、
蠢太郎に深い衝撃を与えた澤村田之助など、みな表に出すことはないが
自分の心の裡で押し殺して自らの役割に身命をなげうっていくその生き様、
そしてそれを自らの裡にも宿し、舞に込めて踊る蠢太郎のシーンは
その写実的な描写と、対照的な内心の心の声が、実に印象的なんですよね。

img238.jpg

村上もとかさんのHP → 村上もとかホームページ
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