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星を継ぐもの [SF]


星を継ぐもの 1 (ビッグコミックススペシャル)

星を継ぐもの 1 (ビッグコミックススペシャル)

  • 作者: 星野 之宣
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2011/06/30
  • メディア: コミック


ご…5万年も前にいったいどこからこの月へ―?
そして―何者!?


西暦205X年―
ロンドンのメタダイン社の理論研究部員・ヴィクター・ハント博士はその日、
月の表側と裏側の境に建造された月面基地に降り立った。
「ようこそコペルニクスⅢへ…」
国連宇宙軍の要請でやってきた彼の目的は、最近月面のとある洞窟で発見された
「真紅の宇宙服を着た人間の遺骸」を調べるためだった。
しかし当然「彼」はただの宇宙で謎の死を遂げた隊員などではなかった。
ニュートリノビームを使って物体内部を詳細に3D透視することができる
トライマグニスコープを携えて、ハント博士が訪れた理由は、
「彼」が“5万年前”の人物であるという結果が出たからだ。
旧石器時代の人間が宇宙服を着て月に―?!
軍はすぐさま地球規模のプロジェクトを組織し、
数少ない所持品を元にあらゆる学問を通じて分析が始まる。
「彼」はどこからこの月へ来て、何をしていたのか―?
「彼」はそもそも地球の人間なのか? それとも今だ発見されたことのない地球外の宇宙人なのか―?
あらゆる仮説が立てられ、新たに発見された事実の元に崩れ去り、そして新たな仮説が立てられる…
様々な発見と研究の果て、ハントたちが到達した真実とは―

ビッグコミックにて連載。
劇画タッチの緻密な描写で、リアリティのあるハードSFや古代史の伝奇などを著す
星野之宣さんの作品をご紹介します。
最近「宗像教授伝奇行」シリーズを完結された星野さんの今回の作品は、
1977年にイギリスの小説家J・P・ホーガンのデビュー作となるSF小説のコミカライズになります。

安価で無尽蔵のエネルギーが普及し、人々が平和で安定した生活を享受できるようになったため
地球上から紛争や軍隊が激減した世界―。
ある日、5万年前の宇宙服を着た“ヒト”の遺体が月面で発見されたことから、人々に衝撃が走ります。
5万年前といえば、当然宇宙へ行ける技術など地球にあるはずも無く、
そんな文明があったなどという発見も無い。
では宇宙人なのか―?
しかしその特徴はあまりにも人間と酷似しており、今までの宇宙探査でも発見されていない
他の星の生物で、しかも偶然地球の人間と同じ特徴を持ち、さらに偶然に地球の間近の
月にやってくる確率は限りなくゼロに近い、と生物学者は“彼”が地球の人間であると主張する。
そして“彼”の発見は、実はただの幕開けに過ぎず、その背後にはさらに大きな発見と
同じくらい大きな新たな謎が横たわっていた― というもの。

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私はあまりSF小説やマンガは読まないのですが、これはまあ面白い!
未来の設定の話だけど、これが考古学ロマンというものなんだろうなあという感じのフシギに満ちている。
今までの人間の歴史ではありえない、そして今までの宇宙の探査でも見たことの無い“ヒト”の存在―
話は月面の基地に高度な透過技術を持って分析にやってきたハント博士や、
生物学の教授・ダンチェッカー教授、そして地球でその分析結果を待っている軍の研究者などが
遺体や持ち物の分析などを行って得た断片的な情報の欠片を基に、
“彼”が一体何者なのかについて様々な分野から喧々諤々の推理をしていく、この様子が実に面白い!
「5万年前の地球には実は宇宙に行けるほどの文明が存在したのではないか?」
「人間そっくりの宇宙人が実在していて、偶然月で亡くなったのではないか?」
「宇宙人が地球人をさらって、月で何かをさせていたのではないか?」
そんな荒唐無稽とも思えるファンタジーな「仮定」を、目の前にある遺体とその分析結果を
「事実」として受け止め、大真面目にやり取りする先生たちの姿がなんか感動するんですよね。

これはライトノベルではなかなか得られない感動なんじゃないかと思います。
…勿論これは私の勝手なイメージなので、立派なSF作品もあるだろうとは思いますが、
あえて言うならラノベとかの世界では、世界観そのものが現実とは別物のファンタジーと
認識してしまい、「宇宙人かもしれない!」と言われても
「ああ、そういうものが出てくる世界なのね~」とあっさり受け容れてしまうでしょう。
しかしこの作品は一見「未来世界」というそのものがファンタジー世界と取られてしまいそうな
舞台でありながら、所々で現実の人類の歴史や進化の過程をダイナミックに挟み込んでくるんですよね。
これががっちり作品のリアリティを補強していて、これにあらゆる物質を透過して
3Dで投射することができるという「トライマグニスコープ」や、
木星圏まで到達することのできる宇宙船など、未来世界ならではのガジェットを盛り込んだ
ハードSFの醍醐味をふんだんに味わうことのできる作品なんです。

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そしてこのあたかも「現実にもあるかもしれない」と思わせるようなリアリティに
大いに影響を与えているのが星野さんの作画。
月面を写す冷たい宇宙。博士たちが乗り込むシャトルや宇宙船、何十層にも連なった
巨大なビル群が建ち並び、争いの無い平和な繁栄を享受する都市の光、
一転して何万年、何十万年も昔の地球や、何度もの氷河期や灼熱の砂漠という
不安定で過酷な環境の中で辛うじて生き抜いていく人類の姿…
どれもがダイナミックに、かつ写実的な劇画風の絵柄で描かれていてワクワクしちゃうんですよ。
ハードSFと聞いて光線銃だとか人型ロボットだとか、未来過ぎるガジェットに
イマイチロマンを感じられない方にも考古学とか、「メソポタミア文明」とかNHKの特番を
思わず視ちゃう、みたいな方ならきっと楽しめるんじゃないかと思います。


1話試し読み → 小学館ビッグコミック公式HP

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