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ヒーローカンパニー [コメディ]


ヒーローカンパニー (1) (ヒーローズコミックス)

ヒーローカンパニー (1) (ヒーローズコミックス)

  • 作者: 島本 和彦
  • 出版社/メーカー: 小学館クリエイティブ
  • 発売日: 2012/09/05
  • メディア: コミック


俺の正義の心をもてあそんで… そんなにうれしいのかっ!!?

「正義が大好き!」を前面に押し出す若者、アマノギンガは、街の人々と平和を守りながら何とか利益も出す会社「ヒーローカンパニー」に熱烈入社希望だったが、入社試験当日、さまざまな事件に遭遇し、いきなりそのヒーロー適性を試されることに…!!
働く男女(あなた)のための、島本流リアル・ヒーロー物語!
(1巻カバー あらすじより)

月刊ヒーローズにて連載。
ヒーローズと言えば、コンビニのセブンイレブン限定で2011年の11月1日からスタートした新しいマンガ雑誌ですね。
単行本は昨年9月から出始め、今回ご紹介するヒーローカンパニーは年末に2巻目まで出ています。
同じ単行本からは鉄のラインバレルを連載した清水栄一さんと下口智裕さんによる「仮面ライダー的」な一風変わったネオウルトラマンを描いた「ULTRAMAN」や、今年春にAKB48の川栄李奈さんによる舞台化が予定されているオカベタカシさん(脚本)と鶴ゆみかさん(作画)による「ヒーローマスク」など、ぽつぽつと話題作が出てきて無難なスタートを切ったんじゃないかなあ、とりあえずすぐ消えてしまうことはないかなあと一安心。そこへきての燃える熱血マンガ家・島本和彦さんによるヒーローモノとくれば、面白く無いワケがない!(信者)
それではご紹介して参りましょう

「正義」とはなにか―
ヒーローものでは必ず問われる命題です。
弱きを助け強きをくじくというのがことヒーローモノの中での「正義」としてお約束ですが、自分にとって良かれと思って行動した「正義」の行いが必ずしもそういった結果をもたらさないこともあるわけで…
以前にご紹介したものでは特にそれを強く問いかけてきた作品として宮下裕樹さんの「強制ヒーロー」などが印象に残っています。TVアニメでは「タイガー&バニー」なども記憶にあたらしいところですね。
そしてこの物語に登場する主人公・アマノギンガも、そういった「自分の中での正義」と「周りから求められる正義」とのギャップに戸惑う主人公であるのです。

まずこの物語の特徴として、正義のヒーローたちが大企業「ヒーローカンパニー」という会社に所属している点が挙げられます。そこでは個人の正義感よりも「会社の倫理」が優先される世界。言うまでもなく企業に所属しているということは、自分が良かれとして行う行動が必ず「会社の利益」になっていなければ認められません。
当事者たちにとっては明らかに「これが最良」とされる行動であっても、それが企業の利益を損なうものであれば許可が出ない、だからできない…!というリアリティ。言葉通り「企業戦士」にされてしまったサラリーマンたちにも共通するヒーローたちの悲哀がコメディタッチに描かれています。
例えば第一巻は全編それに沿った内容で、主人公で「ヒーローカンパニー」に入社希望の正義感あふれる青年・アマノギンガが、面接を受けるため指定された時刻までに会社に到着するというだけのお話なのですが、ギンガはその道中で様々な悪事の現場に遭遇しまくるのです…!
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電車に乗ればこれみよがしにスリ・チカン・置き引き犯を目撃し、駅から会社までの道中でも様々な悪事が目の前で繰り広げられている。加えてギンガたち面接予定者たちは、会社から予め身体能力を大幅にパワーアップするインナーウェアを着用することを求められていて、おあつらえ向きにそれらの悪事を自ら解決する力も持ち合わせています。ましてやこれからヒーローになろうという青年、助けを求める弱者の視線を向けられれば当然助けに入るでしょう!

…けれどこれはヒーローカンパニーが面接志望者に張り巡らした巧妙なワナ。
彼らが寄り道したくなるような悪事をわざと仕掛けることで、面接時間に間に合わなかった者を問答無用で不採用にする試験だったのです!
悪から弱き者を助けたと思ったら、それらはどちらもグルで、まんまと引っかかったギンガにドッキリ大成功!とばかりのネタばらし。ギンガは目の前で目撃する新たな悪事の前で、それがカンパニーのやらせなのか本当に悪が行われているのを見過ごそうとしているのか、いやそもそもこれ以上人助けに入ったら面接時間に間に合わなくなってしまうから見過ごす…?! …けど、悪を見逃すくらいならいっそ…でも、これもドッキリだったら…!?という自身の葛藤の渦にぐるんぐるん巻き込まれてしまうんですね。
もうこの展開が非常にコミカルかつスリリング!
一方でこの試験を仕掛けたヒーローカンパニーの採用担当者側は目の前の悪にホイホイ飛び込むある種小気味の良い姿勢を否定しているわけですが、その意味するところを証明するドラマがこれから展開されていくものと期待されます。
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2巻では定番の「ド新人がベテランでも手こずる大舞台にいきなり立たされる」というシチュエーションを、5人グループのヒーロー戦隊もののメンバーチェンジを巧みに使って島本さんお得意の「圧倒的不利という名の逆境」へと段階を経て放り込む話作りがお見事で、やっぱり島本さんとヒーローとの相性は抜群だなあと思わせてくれる引きで終わっています。
自分の心のなかの正義感と会社から求められる行動が相反するとき、自らのそれまでのアイデンティティの変容を迫られた時、どこに落とし所を求めるのか…?
これに島本さんがどのような答えを提示するのか。安易に「自分の正義を貫きたいから一匹狼になります」という逃げ方はしないであろう島本さんだからこそ、むしろ「大事の前の小事!」を格言めいた言葉で言い放って誤魔化すあえて会社の倫理を取ることも十分あり得るだけに先の見えないこの結末が非常に気になるところです。
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ヒーローモノを多く描いてきた島本さんならではのヒーローの変身バンクシーンとか、作画上の見所もバッチリ押さえてあります。さすがよくヒーローモノの番組を研究しているなあと思わせてくれる見応えがあると思う物語だと思いますよ。


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