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ヘレンesp [ハートフル]


ヘレンesp 1 (少年チャンピオン・コミックス)

ヘレンesp 1 (少年チャンピオン・コミックス)

  • 作者: 木々津 克久
  • 出版社/メーカー: 秋田書店
  • 発売日: 2009/01/08
  • メディア: コミック


ヘレンはもうオレ達に近い 人間のことがわかっちゃいないね

5年前の交通事故―
それは一人の少女の家族と共に、光と、音と、言葉を奪った。
三重苦を抱えることになった少女・ヘレンは、優しい叔父さんと盲導犬のヴィクターと共に
穏やかに暮らしていた。しかしある日、彼女は不思議な力に目覚める…
「力の使い方さえ練習すれば… アナタはこの世を破壊することだってできる」
心優しく純朴な少女・ヘレンは、その日から不思議なできごとに度々遭遇することになるのだった…


週刊少年チャンピオンにて連載。全2巻。
先日ご紹介したダークファンタジー「アーサー・ピューティーは夜の魔女」の作者
木々津克久さんの作品になります。
きっかけはその「アーサー・ピューティー~」の1巻で重要な役割として出てきた女の子が、
このマンガのヒロイン・ヘレンであるという情報を頂いたからでした。
「すごいな、チョイ役での登場ならともかくこんな重大な役を
別作品のキャラにやらせてしまうなんて(;´▽`A``」
ヘレンespの読後に改めてアーサー・ピューティーを読み返して衝撃を受けました。
盲導犬・ヴィクターと一緒に歩く可憐な少女が
色鉛筆で彩色したような温かみのある絵柄で描かれた表紙。
いかにもハートフルな雰囲気があり、ジャンルとしては適当なのでしょうけれど
私はこの作品におそらく木々津さんの特徴なのであろう「エグみ」を感じました。
でもそのエグみが印象に残る面白さ。ただのハートフルじゃあないんです。

見えない、聞こえない、喋れない―
5年前の交通事故によって全てを喪った少女・ヘレンは代わりの力なのか
超能力的なものを身につけています。日常的なものでは彼が生まれた時からの相棒である
盲導犬のヴィクターとの会話(念話?)ができること。
それ以外の動物たちとも意思疎通ができたり、言葉だけではなくて花の妖精に出会ったり、
彼女が強く念じれば電話線を通って通話している相手の居るところに瞬時に現われることも、
空を飛ぶことだって可能なのです。
具体的に「こういう能力」と明示はされていませんが、その能力は使い方さえ身につければ
世界を破壊することもできるという凄い可能性を秘めたものなのですが、
しかしその不思議な能力は時に彼女の望むと望まざるとに関わらず、
この世ならざる者を引き寄せ、巻き込まれることにもなるのです。

とは言ってもお話自体は飽くまでも三重苦を抱えた少女の日常系の物語で、
そこにフッと非日常の生き物が紛れ込んでトラブルを起こしたり、
人間とフクザツな意思疎通ができない動物達の抱える悩みを、
ヘレンの優しい心や不思議な力が解決したりするもの。
ヘレンとピッタリ寄り添い、人の世の穢れを知らない主の代わりに
目に見えるものを伝えたり、何かを感じたヘレンが望むところにいつでも付いて行ったり、
いざという時には身を挺して助けたりする彼女の相棒・ヴィクターや、
基本的に手に描いた文字や点字で情報を受け取り、
スケッチブックに書き込むことで他人にメッセージを伝えるヘレンのために
保護者になった叔父さん(父の弟)が色々と骨を折ってくれたり、
事故後5年経って通い始めた高校で何かと力になってくれる
クラスメートたちに出会ったり、本当にヘレンは様々な人に支えられ、
そしてそれを還元するかのようにヘレンもまた、人ならざるものを含めた
誰かのためにその能力をふるうのです。

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しかしそんなお人好しなヘレンに、相棒のヴィクターは
度々「もっと慎重になれ。世の中はそれほど善意で満たされてはいないぞ」と注意を促します。
それは彼女自身をピンチに陥れるものだったりすることもあるのですが、
どちらかといえば彼女の気付かないところで起きているというのがなんとも痛烈です。
一例を挙げるなら、家の前の広い庭先でヘレンが大事に育てているチューリップ畑に現われた
花の妖精がヘレンと仲良しになるお話では、話しの後半、
嵐がやってきてへレンが暴風雨の中必死にチューリップを守り通すのですが、
後日それが原因で風邪でダウンしたヘレンを見舞ったクラスメート達が、
帰る道すがらこんな会話をします。
「さっきの花束立派だったねー 買った時あんな豪華だったっけ?」
「エッヘッヘ あれはねー ちょうどいい所に花畑があったもんだからさ… それをちょっと足して…」
一方その頃ヘレンは、部屋に飾られたチューリップの混ざった花の匂いをかぎながら、
近くに感じるのに返事をくれない花の妖精に不思議そうに呼びかけている…という。(;´▽`A``

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善意から出た行動で、何か別のかけがえのないものが壊されていく皮肉。
でもおそらくヘレンはそれに気付かなかったのでしょう。
次回以降のヘレンもなんら普段と変わらない、明るくてお人よしな少女のままなのです。
これがアーサー・ピューティーでの彼女の役回りとなって出てきたのは
なんとも痛烈なブラックジョークじゃないですか。
ヘレンの1巻のおまけマンガで木々津さんの別作品である「フランケンふらん」のキャラクターと
クロスオーバーするショートエピソードが描かれたりして、こういう作りを好んでされる方なのかな?
と思ったりしました。

img040.jpg
「アーサー・ピューティーは夜の魔女」より

度々出しましたがアーサー・ピューティがお気に召した方なら是非この作品も読んで欲しいです。
勿論ヘレンespがお気に召したら、アーサー・ピューティも併せてお楽しみいただけると思いますよ。


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