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拝金 [スリル/サスペンス]


拝金(1) (ゼノンコミックス)

拝金(1) (ゼノンコミックス)

  • 作者: 堀江貴文
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2011/04/20
  • メディア: コミック


金には味がする 甘美で切ない 孤高の味―

「藤田優作 君はどれくらいの金持ちになりたい?」
「…そうだな 『金で買えないものはない』 ……そう言えるくらいかな」
「……わかった それでいこう」
11時47分
そんな中途半端な時間に俺は悪魔と契約した―

その男に会うまでの俺は、ただひたすらに日々を過ごすだけのフリーターだった。
負け組みでなければ、もちろん勝ち組でもない。
不平等なこの世の中でちっぽけな自尊心を守るために、俺は何の欲望も持たないようにして、
同じようなヤツらが集まる、この場末のちっぽけなゲーセンに入り浸っていた。
勝ちも負けも無い、誰もが顔なじみで平等な世界…それを俺は「楽園」と呼んだ。

しかしそんな俺たちの「楽園」は、ある日場違いな雰囲気をまとった
“おっさん”が現われるようになってから、あっという間に変貌を遂げた。
毎回同じ時間にやってきては、万札を全てコインに変え、少し遊んだ後の残りのコインを
あっさりと近くの台の奴に譲ってしまう。
気さくな態度と相まって、俺の憩いの場であった“楽園”は
羽振りの良いおっさんを中心にした“王国”になった…

「優作…お前、金持ちになりたくないか?」
楽園を去ってから程なくして、俺は偶然おっさんに再会した。
それから何とはなしに他愛のない話をするようになり、
そして今日、彼に誘われた俺は、今までお目にかかったことがないような
一部の金持ちだけが許される味を味わった。そしてようやく俺は気付いたのだ。
欲望を捨て、金は生きていく最低限だけあればいい…
そんな風に逃げているヤツほど、本当は誰よりも欲深いのだということを―

「NHKドラマ『ハゲタカ』で描かれていたようなITベンチャー企業像に違和感を持ったからですね。」
堀江さんは本作品を書くに至った経緯を、そのように語り出しました。
本日ご紹介するのは、元ライブドアの代表取締役であり、
その急激な企業拡大の手腕をもって一躍時の人となった堀江貴文さんによる
小説のコミカライズ版のご紹介になります。

お話は年収200万円のフリーターが謎めいた男“おっさん”に出会い、
IT長者として一気に成り上がっていくという筋の、
堀江さんご自身の体験を下敷きにした「青春経済小説」と銘打たれた物語。
冒頭のお話のようにライブドアを急拡大させ、続く球団の買収と
ニッポン放送株の買収に乗り出した2004年~2005年頃の
まさにITバブルの体現者であった堀江さんだからこそ描ける、
当時の空気を強く反映させることに心を砕いた作品であるようです。
「僕、担当の編集と話していて『古いよ、それ』って思うことが多いんですよね。
例えば、シャンパン=ドンペリとか。2004年ごろのITバブルの時代を描くなら、
アンリ・ジローとかを出さないといけないんですよ。」
このお話に代表されるように、時流に乗って飛ぶ鳥を落とす勢いだった
当時のITバブルの体現者達がどういった生活を送っていたのか、
どういった考え方をしていたのかそれらが主人公・藤田優作を導く
腹に一物ありそうな“おっさん”を通して描かれていきます。

大企業傘下の町に生まれ、町中がその企業の恩恵を受けて自身も家族も
その企業で働いていた優作は、業績不振に陥った会社から父親が解雇されたことがきっかけで、
家庭崩壊を招き東京に逃げ出してきました。
元々何をやりたいというのがあったわけでも無く、同じようなほとんどその日暮らしの若者達が集う
ゲームセンターに入り浸りながら、アルバイトをして過ごす日々。
そこへやけに羽振りの良い謎の男“おっさん”が現われるようになり、
居心地の良かった優作の「楽園」は脆くも砂上の楼閣と化すことになります。
「『鳩ボール』知ってる?」
公園で偶然再会した“おっさん”は、そう言って手にした食パンを細かくちぎることなく
丸ごと1枚、鳩の群れにほうります。すると我先にとそのパンに一斉にたかる鳩による固まりができる。
自分が食べきれない大きさなのに必死に大きな塊を抱え込もうとする者、
そのおこぼれにあずかろうとする者、自分もほしいのだけれど、どんくさくて弾き出されてしまう者…
なんとも悪趣味ではありますが、金に群がる人々もこれと同じだと言う象徴的なエピソードです。

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“おっさん”はそういった欲深い人の本性を優作に見せつつ、彼を金持ちでなければ味わえない
世界にも連れて行き、無欲であることで日々をやり過ごしていた優作の野心を焚きつけていきます。
そして優作は200万を借り受け、いくつかのアドバイスを貰って金持ちになるべく起業をし、
あの鳩ボールに象徴される「拝金」の世界へ飛び込んでいくことになるのです…。

「拝金」という言葉は少なからず嫌悪の混じった言葉として私たちは認識します。
しかしその「金」を得ることに貪欲に、血道を挙げることに諸手を挙げて是とする感覚。
いかにも堀江さんらしい感覚というか…堀江さんだけではなく堀江さんを始めとした
ITバブルの波に乗っていた人々の特徴的な感覚、私には憧れはしないけれど
実に刺激的に映るし、そこがこの作品の特徴なのだと思います。
「金で人生を狂わせた」
とステレオタイプに言うのは簡単だけれど、金を貪欲に追い続け、
自分を満たそうと必死に努力することは果たして悪だろうか。
インサイダー取引で逮捕された当時の村上ファンドの代表の
「お金を稼ぐ事は悪い事ですか?」という台詞が浮かんでやっぱりちょっと抵抗感は拭えないまでも、
当時彼らの見ていた世界、そしてそこから呼び起こされる感覚をこの本から感じることができます。

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そして“おっさん”によってITバブルの洗礼を受けた優作が1巻でやっていることは、
「拝金」という言葉から想像する人を陥れることを辞さない虚虚実実の駆け引きとかとは対極的な、
誰もが肯定的に受け止めるであろう アイディアを武器に、ビジネスとして成功させようと
寸暇を惜しんで形にしていく起業物語です。
最終的に彼が行き着く先はどこなのか。
“おっさん”は彼を何処へといざなっていくのか…
あちらこちらに堀江さんの理論や感覚が象徴的な表現で描かれる、実に興味深く読めた作品でした。


堀江貴文さんのブログ → 六本木で働いていた元社長のアメブロ
竹谷州史さんのブログ → 竹谷州史のブログ(仮)
堀江信彦さん(コミックゼノン編集長)×堀江貴文さん(原作者)×竹谷州史さん(コミカライズ担当)による
あとがき対談の一部映像 → コミックゼノン
小説「拝金」発売時の堀江貴文さんへのインタビュー → Business Media 誠
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