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ばいばい、にぃに。~猫と機関車~ [ハートフル]


ばいばい、にぃに。~猫と機関車~ (IKKI COMIX)

ばいばい、にぃに。~猫と機関車~ (IKKI COMIX)

  • 作者: 柳川 喜弘
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2011/11/30
  • メディア: コミック


キミはボクシングが好きになったと言ってくれた… オレは本当に嬉しかった…
―オレのその思いだけは奪わないでくれ!


かつて“機関車”という異名を取ったボクサーがいた。名前を弐戸。
彼は決して退かず前へ前へと前進するスタイルで人々を熱狂させたが、とある事件で脚に障害を抱えて姿を消し、今は拾った雑誌を路上で売り歩いて糊口をしのぐ落ちぶれた日々を送っていた…
ある日弐戸は幼い頃に亡くした弟の面影を持つ若きボクサー・次郎と出会う。
知り合ううちにかつての情熱を取り戻しつつあった弐戸。
しかし、偶然にも次郎の次の試合に、黒い思惑が張り巡らされていると知った弐戸は…

週刊漫画サンデーにて2010年に連載。
当時単行本化はされず、その後小学館の第12回IKKI漫画賞「イキマン」単行本部門での受賞を経て単行本化された、ちょっと異色の経歴を持つ漫画です。
表紙はうす汚れた格好で擬人化された猫の兄弟と機関車。
どことなく「銀河鉄道の夜」ぽいいいカンジの装丁に思わず足を止めてしまいました。
柳川喜弘さんという漫画家さんは、シティハンターなどでおなじみの北条司さんのアシスタントを経て1993年に柳川ヨシヒロ名義で週刊少年ジャンプの「Vice」という作品で連載デビューされ、2001年に週刊コミックバンチの「眠狂四郎」にて青年向けに転向されて現在に至る方なのだそうです。成る程、氏の公式Webサイトに掲載されている漫画を拝見すると、北条さん似のキャラクターが描かれているのですが、この作品はそれと比べると(キャラクターが猫なのが大きいのでしょうが)かなり印象の違う絵柄になっています。
正直私はこの絵柄が好みで手に取ったと言って過言ではありません(;´▽`A``

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お話は希望を喪い、過去の過ちに囚われた人々の再生の物語です。
子供の頃両親に棄てられ、弟と二人、住む場所を喪ってどん底の日々を送ってきた弐戸。
ロクな食事も得られず、遂に追い詰められた弐戸が一瞬弟を見放した瞬間に弟はそのまま帰らぬ人となってしまい、以来兄は罪の意識に苛まれていくことになります。
その後ボクシングに出会って“機関車”の異名を取って世界の頂点まであと一歩というところまで登りつめるのですが、ボクサーとしては致命的な脚の障害を抱えることになり、生ける屍となって日々を生きるだけの生活に逆戻りしてしまっているのです。
子供の頃に体験した弟への悔やんでも悔やみきれない罪悪感。そしてボクシングと出会って自分の居場所を見つけたと思った矢先の喪失感。それらを抱え、生きる希望も無いまま生きる彼の前に、ある時弟の面影を持つ若きボクサー・次郎が現われることになるのです。
いいなあと思わせてくれるのが、この次郎にも過去に後悔を抱えていて、次郎という存在が弐戸にとっての罪悪感と希望の象徴であると同時に、まるで映し鏡のような存在でもあるという点。弐戸が次郎に投げかける言葉の一つ一つが自分にも当てはまる言葉であって、それが次郎を、ひいては弐戸を救っていく筋書きが本当にイイ!

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二人以外のキャラクターでも“機関車”弐戸の大ファンで、何かにつけて世話を焼きたがる街の実力者・雨庄(アメショウ)親分や、度々彼の使いでやってくる、弐戸のことを誰よりも理解する勇次とか、陰で支える人(猫?)たちがまた人情味があって好き。特に弐戸を好き過ぎるあまり、ありがた迷惑なカンジの親分は、そのいかにも親分然とした見た目に反して子供のように弐戸の歓心を得ようとがんばっちゃう姿がなんとも憎めないヤツなんですよ。

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お話は雑誌掲載分の6話の他に、弟を喪った直後の弐戸と、彼に関わることで救われていく児童相談所の海子さんを描く描き下ろしが収録され、こちらもイイですよ。
あとがきの4ページもみっちりとこの物語が単行本化されるまでのお話や思い入れで埋められていて、奥さんの奮闘ぶりに対する感謝を照れ笑いしながら綴る姿が目に浮かぶような、最後の最後でまたこの作品が好きになってしまうようなエピソードが掲載されていて「尻尾まで餡がぎっしりだよ!」という満足感。
少年マンガのようなベタで暑苦しく、青年向けのような若干地味目ではあるのですが、いやあ、私好きですよ!


柳川喜弘さんのWebサイト → YANAGAWA YOSHIHIRO HOME
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