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ましまろ文學ガール [恋愛]


ましまろ文學ガール 1巻 (ビームコミックス)

ましまろ文學ガール 1巻 (ビームコミックス)

  • 作者: 天乃タカ
  • 出版社/メーカー: エンターブレイン
  • 発売日: 2012/04/14
  • メディア: コミック


私は心のままに自由に文學を愛したいだけなのに

時は大正…
女学生の星野百音(ほしのもね)は、校内ではちょっとした話題の女の子。
周囲のグループに属すこともなく、四六時中「文學」に没頭する彼女は、変わり者として受け止められていたのだった。
「下世話な大衆小説」にうつつを抜かす百音の姿に、先生も下宿先の叔父も眉をひそめては度々注意する。
「そんなことでは良き母・良き妻にはなれない」と。
「どうして?私は心のままに自由に文學を愛したいだけなのに―」
そんなささやかな願いは周囲の理解を得られることはなく、百音はただ一人、文學を読んで湧き上がった思いをせめて懐に忍ばせた手帳に書き溜める日々を送るのだった…

そんなある日、馴染みの印刷所に見慣れぬ青年が現れる。
彼は派閥争いやくだらない論争に縛られない自由な気持ちの表明を謳う気鋭の「文學倶楽部」の一員だった。
これこそ私の望んでいた仲間だわ…!
思わず青年に声をかける百音。しかし「女子供の遊びじゃない」とにべもなく突っぱねられてしまう。
「女だから」「女の子なのに」「女のくせに」…
ああ、いつものその言葉…
こんな風にしたいこともできないまま、私は結婚して家の為に子供を産んで生きていくのだろうか…?
(…そうだわ、もし自分が女じゃなかったら…)
そうして百音は、男装をして女人禁制の文學倶楽部に入りこむことを決意する。
男尊女卑が当たり前だったこの時代、果たして百音は自分の「文學」を貫いていけるのだろうか―。

Fellows!にて連載。
今回は私の大好きな大正浪漫ものの作品でございます。
昨年はTVBrosで「大正ガールズエクスプレス」が大賞に選ばれたりして はいからさん物語の根強い人気を感じたりもしました。
いやあ、やっぱり男社会に飛び込む女の子の物語というのは良いですね~
そして今回ご紹介する作品も、男尊女卑が当たり前だったこの時代の背景や、そんな“社会の常識”の壁に思い悩む女の子の心情をとても良く描いた作品として大プッシュしたくなる物語なわけです。
それではご紹介してまいりましょう!

作者の天乃タカさんは天乃さんが話作り担当、タカさんが作画担当の二人組のユニットなのだそう。
以前同じFellows!で連載された「誰が為に鋼は鳴る」という作品は、ちらほらとTwitterなどでも好評価を得ていたタイトルとして記憶に残っています。
さすがFellows!作家というべきか、まず作画の細かさ、それでいてすっきりと整理された線の見やすさ、更に少女の愛らしさはお墨付き。
着物から木造の建物の木目に至るまで、見事に大正時代の雰囲気が感じられ、それだけで幸せなのです。

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お話は女学校に通うため田舎からやってきた女の子・星野百音が、自分の好きな“文學”をしたいが為、密かに男装をして女人禁制の文學倶楽部に通う、というもの。
大正時代と言えばデモクラシーが湧き起こった時代でもありますが、まだまだ男尊女卑が当たり前の世の中。女子は年頃になったら親の決めた婚姻相手の元に嫁ぎ、家を守り子供を育てるものと決まっていましたから、女学生の本文は良き妻・良き母になるための修養を積むこと。文學などという道楽は働かなくても食っていけるような金持ちのボンボンならいざ知らず、女性がするなどもっての外とされていたわけです。
男装して文學倶楽部のメンバーが集うカフェーに乗り込む百音。しかし一介の世間知らずの女の子のやること、印刷所で出会った若者・槇野為人(まきのなすひと)にはあっさりとバレてしまいます。
金持ちの道楽として受け止められる文學、男でも大変なのにましてや女子がのめり込むなど茨道だ。為人は一度は思いとどまらせようと考えますが、彼女の並々ならぬ「覚悟」を目にして、他の倶楽部の面々には百音が女性であることを伏せた上で同士として迎え入れようと決意するのです。

一方で百音には早速世間の荒波が襲いかかります。
自分が好きで好きでしょうがない文學、それを思う様表明したい!語り合いたい!そんな抑えがたい気持ちに衝き動かされ、思わず男装までして飛びこんだまではいいものの、それに対する周囲の反応が予想外に強いことに百音ちゃんは面食らってしまうわけですね。
自分の実家を出て女学校に通うために保護者となってくれている兄替わりの人は、文學活動にのめり込んでいく百音を強く諫めます。彼は物腰は柔らかく心の底から百音を大事に思っており、百音もまたそんな兄替わりの人を敬愛してはいるのですが、女子のあるべき姿を逸脱する彼女の行為がどれだけ周囲から白い目で見られ、辛いことかを知っているのです。このお互いに大事に思っているのに「世間」とか「常識」が二人を結果反目させてしまう悲劇。
言に自己の主張を押し通してはみたものの、翌日女学校では先生から呼び出しを食らうわ、女学生たちからの陰湿ないじめの対象にされるわ、「女学生にあるまじき」振る舞いが、「普通ではない」その行為が徹底的に非難の的になってしまうんですね。百音はもうそれに戸惑い、落ち込み、放課後逃げるように女学校から飛び出してしまいます。

為人は初めこそ「女性である」百音を拒否しましたが、彼女の“文學”を愛する「決意」と、彼女の書き溜めた手帳を一読して、まだまだ荒削りだが自身のイマジネイションを喚起させるほどの感性に惚れ、受け入れる決意を固めていました。しかし、肝心の百音が翌日集会の時間に溜まり場であるカフェーに現れない。
「女心と秋の空ってやつか…?」
男装までして、あれほどの決意を見せてくれた百音を信じたいと思う気持ちと、でもやっぱり翻意してしまったのかもしれないという不安…。女性は親の言うことには従うのが絶対の世の中でしたから、昨日は本人にその気があったとしても、バレた場合の周囲の反応は推して知るべしなのです。
信じたい、けど…と揺れる為人と、「文學を好き」と表明することがいかに世間に受け入れられないのかということに打ちのめされ、今にも崩折れそうな百音…この二人の再会が一つの見せ場です。

為人の他にも、彼の親友で一見プレイボーイな公爵の嫡男・蓮太郎、そして女学校の生徒会長で周囲からもお姉さまと慕われる お園嬢などが百音の理解者として登場します。この3人は3人とも別の形で世間に許されることのない鬱屈した思いを抱えていて、これがもう一つの物語としても、百音を手助けする行動理由としても活きてきます。
特に女学校で味方になってくれる お園嬢との間で、後半ちょっとしたやりとりがあるのですが、それが非常に印象的でした。百音が望む“文學”がどういうものなのか、ただ「好き」というだけから一段階上の気持ちに気づき、脱皮していく瞬間が描かれ、以降も度々為人をはじめとした文學倶楽部の面々は、自分の中の理想の“文學”を追い求めて急速に成長していく百音の姿に心惹かれていく流れも良い感じです。

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他のはいからさん物語のヒロインにあるような、頑固で強い意志をもって男社会に乗り込んでいく勇ましさこそありませんが、周囲の圧力に戸惑いながらもやっぱり文學を諦められない百音。男装などの危うい道を歩もうとしていく彼女の姿は、なんていうか守ってあげたくなるんですよ。


天乃タカさんのウェブページ → AT
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