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ぼくらのよあけ [SF]


ぼくらのよあけ(1) (アフタヌーンKC)

ぼくらのよあけ(1) (アフタヌーンKC)

  • 作者: 今井 哲也
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/06/23
  • メディア: コミック


おれたちとナナコ4人だけでぜったいあいつを宇宙まで帰すんだ

あの日…SHⅢ・アールヴィル彗星が間もなく、28年ぶりに地球に最接近しようとしていたあの夏の日、
同じ団地住まいの僕らは、かつて地球外からやってきて地球に不時着した“宇宙船”に出会った。
2038年7月13日―小学4年生
そのときの僕はまだ気づかなかったけど それが僕らの一緒に過ごした最後の夏休みになった
そして僕らは一生の友達と出会う

アフタヌーンにて短期集中連載。(全10回)
以前高校アニ研を舞台にしたマンガ「ハックス!」を連載されていた今井哲也さんの新作になります。
2038年の近未来―
人々を繋ぐネットワークは発達し、高度な人工知能を搭載した家電ロボットが家事を手伝い、
小学校の授業も教科書からプリントから全てデジタル。
けれど人類は今だ地上から宇宙を見上げてる。そんな時代。
地球外からやってきて、28年前に人知れず不時着した無人探査の“宇宙船”を母星に還すべく
3人の小学生の男の子たちが奔走するというSFものです。
いやあ こーゆーのを待ってたんですよ!!
夏!小学生!異星人との出会い!(正確には「人」ではなく宇宙船の擬似人格ですが)
未来の話なのにどこかノスタルジックな「一生忘れられないあの夏の思い出」的な…
それでいて純粋な小学生だから素直に受け容れられるSF的なスケールのでかさ。
これらのエッセンスが ぎゅっ と詰まったワクワクする一冊なのです。

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この作家さんて印象的な空間を描き出すのが実に巧い方だなあと思うんですよ。
近未来を舞台にしたマンガと言えば、ありとあらゆる未来デバイスが登場して、
例えば空間に出現するキーボードのようなコントロールパネルであるとか、
オートメーション化された家具類、買い物は当然全てカードで、
なんとなく法の下に管理された無機質で冷たい印象…
けれどこのマンガはそれらのいくつかのデバイスも登場しつつも、
少し前に放映されたNHKのアニメ「電脳コイル」のようなノスタルジックな雰囲気をも併せ持っていて、
これが子供の頃の自分を思い起こさせずにはいられないわけです。
その最大の原因は、主人公で他はからっきしだけど宇宙に関してだけはやたら詳しい
小学4年生の沢渡悠真(さわたりゆうま)や、そのクラスメートのめがね君・岸真悟、
そして二人と同じ団地に住む6年生で母子家庭なこともあってか大人びた雰囲気のある
田所銀之助らの住む「阿佐ヶ谷住宅」という団地が主な舞台であることが大きいんですね。

阿佐ヶ谷住宅というと東京都の杉並区に実在する団地で、1958年に計画されて
高度経済成長と大量生産の時代の、無機質で均一ないわゆる「集合住宅」とは
その設計思想が大きく異なる、そこに生活する人たちの住み心地に特に配慮された特徴があるそうです。
詳細に関してはこちらのレビューに詳しいのでご覧になると面白いと思いますが、
その阿佐ヶ谷住宅の風景として夏の照りつける陽光で染め上げられる団地の日なたと
日陰のコントラストや、団地の敷地内のそこかしこに植えられた木々の陰に
蝉の鳴き声だけが重なるコマがそこかしこで描かれ、舞台は2038年の近未来にも関わらず、
人の声の絶えた年経た団地の、いいカンジの寂れ感、静けさをもって、
ここだけいきなり昭和の時代のまま取り残されたかのような印象を受けるのです。

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そして特に主役である小学生3人の会話の「子供らしさ」がハンパない。
気安い者同士のどこか主語をすっ飛ばしても通じる、ポンポンと続く会話のキャッチボールが、
まるで偶然窓の外から聴こえてきた小学生同士の会話のようなリアリティ。
宇宙船のことは3人だけの秘密にしようぜ!ってなって、3人とも隠そうとするんだけど
親や姉とかに「なんか顔がにやけてる」とか「なんか良いことあった?」とか指摘されちゃう
素直なところとか。

…あ、お話についてここまで一切触れてませんね(;´▽`A``
でもあらすじは冒頭のだけで十分だと思います。
補足するとすれば、未来デバイスであるところの悠真の家で働く
人工知能を搭載した家事お手伝いロボット「ナナコ」の存在でしょうか。
ふよふよと浮かび、人間と自然な会話ができる高度なAIを持った
オートボットで、以前家族の誰よりもナナコを欲しがっていた悠真は、
今は小学生らしいフクザツな感情を抱いており、子供の安全のために
何かと親のように口うるさいこともあって邪険に扱ってしまいます。
しかしとある事態になってからはお話が進むにつれてナナコに対する後ろめたい感情と
素直になれない自分への葛藤を抱えるようにもなっていく…これもまた見所です。

宇宙からやってきた“宇宙船”を還す過程で少年たちが成長していく物語。
前半はここでは殆ど触れていませんがあっちこっちに伏線が張りまくられて
謎だらけのまま後編へと続きます。
全10話予定で次の巻で完結すると思われますが、前半で広げた風呂敷をどう畳んでいくのか、
怒涛の後編の刊行がとても楽しみ。
お薦めです!(カバー裏のおまけもw)


今井哲也さんのHP → タイトル:未定
1話試し読み → アフタヌーン公式HP
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