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あたらしい朝 [青春/自分探し]


あたらしい朝(1) (アフタヌーンKC)

あたらしい朝(1) (アフタヌーンKC)

  • 作者: 黒田 硫黄
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/08/22
  • メディア: コミック


あいつが帰ってきたら きっと俺たちパン屋をやるよ

1930年代 ドイツ―
アドルフ・ヒトラー率いるナチスの台頭を受け、全世界に戦火を撒き散らしていった時代。
町のチンピラで享楽的な日々を過ごしていた行き当たりばったりな性格の男・マックスと、
その相棒で思慮深く目端の利く男・エリックは、ある日深夜の路地で
偶然鞄いっぱいに入った現金が落ちているのをうっかりネコババしてしまう。
しかしそれはナチスの裏金であり、党幹部が血眼になって探しているのを知った二人は
マックスの知り合いの女性・ベルタに金を預け、ほとぼりが冷めるまで海軍に転がり込むことにした。
世は正に第二次世界大戦。
戦争から帰還して無事あの金を自分のものとすることができるのか?
果てしなく続く戦場で、あたらしい朝を迎えることができるのか?
戦争によってその運命を翻弄されていく二人のチンピラの青春ストーリー!

アフタヌーンで連載。全2巻。
著者である黒田硫黄さんが病気療養をしながら最近4年越しで完結させた物語です。
「茄子」や「セクシーボイスアンドロボ」など、スタジオジブリによって映像化されたり、
TVドラマになったりしている黒田さんの作品を、私はこれで初めて読みました。
黒田さんの特徴である筆を使ったダイナミックな絵柄が、二人の体験する「戦争」と、
戦場を生き残るため走り回る二人の生命力溢れる躍動をよく描き出しています。

ほんの2年ほど軍役に就いてほとぼりを冷まそう。なあに、戦争は勝ちに勝ちまくってるんだ。
あとは相手が降参してくれればすぐにも戦は終わるさ。
…な~んて大金を手に入れたマックスは、除隊後に惚れたベルタと所帯を持つ夢を見ながら
海軍の偽装船に乗り込み、大海原へと漕ぎ出します。
しかし所属が異なる相棒のエリックとは音信不通。更に征けども征けども任務はつづき、
流れ流れて気がつけば故郷のドイツは遥か彼方―
俺は無事故郷に生還できるのか? ベルタはあの金をきちんと管理して待っていてくれるだろうか?
日々洋上で物資を載せた敵の船を狙う任務に就きながら、マックスは段々と不安に駆られていきます。
明日になれば 明日こそは… そんないつやってくるとも知れない未来に思いを馳せるマックス。
しかしそんな彼に、ある日ベルタから届いた一通の手紙が、彼に衝撃と強い動揺を与えます…

たまたま偶然手に入れたあぶく銭に強い未練を残し、それを心の拠り所とするマックスが実に滑稽で、
一寸先の生の保証も無い戦場で、遠い先の夢にすがる彼が切なくもあります。
でもこれは無理からぬこと。
誰もが自分の理想の未来を夢見て、でもその夢にちっとも漕ぎ着けない自分への焦燥感。
具体的に「大金を手に入れた」というこの設定が、それを実に象徴的に描いています。
大金を手に入れた過去と、幸せな未来の夢に捕らわれ、
刻々と情勢が変わる「今」に対して地に足が着かない彼。
戦争に散々運命を翻弄された末に迎えるマックスのラストは、
行き当たりばったりな性格の彼らしさが強く出ていて凄くいい感じです。
戦時中の軍隊の様子など、あとがきで語られる硫黄さんの参考文献紹介のお話も面白く
それが独立愚連隊のような陽気なマックス達クルーの様子など、大いにリアリティを補強してくれます。

img620.jpg
巻数も少なくてさくっと読める佳作だと思います。
機会がありましたら是非。


黒田硫黄さんのblog → 黒田硫黄の仕事
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