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アオイホノオ [青春/自分探し]


アオイホノオ 1 (ヤングサンデーコミックス)

アオイホノオ 1 (ヤングサンデーコミックス)

  • 作者: 島本 和彦
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2008/02/05
  • メディア: コミック


いつかは俺も挑戦するぞ… しかもそう遠くないいつかに…

1980年代初め 大阪―
TV・マンガ・アニメ業界を目指す若人が集う、ここ大作家(おおさっか)芸術大学に、
野心溢れる1人の学生がいた―!
「くっくっく、甘い…甘いぞ!漫画業界全体が甘くなってきている!」
そう言って読んでいた少年サンデーから顔をあげ、青年は不敵な笑みを浮かべた。
その男、焔燃(ほのおもゆる)!
大作家芸術大学の映像計画学科に所属している一回生で、
近い将来漫画家デビューを夢見る若者の1人だった!
「いや、夢なんかじゃない…」
焔は、まるで征服したかのようにサンデーを見下ろし、言い放った。
「こんな絵のヘタクソな新人が連載を持てるほど甘い漫画界なら、
 俺がその気になれば今すぐにでもプロデビュー可能!」
焔燃18歳―
この時代の静かだが確実に変革を迎えつつある漫画業界を背景に、
まだ具体的に動き始めてはいないが、漫画家になることを目論む、
どこにでもいる男の姿が、そこにあった…

ゲッサンにて連載。
'80年代の漫画、アニメ業界を背景に、焔燃という過剰なくらい自信家の若者が、
漫画家を目指したりアニメに手を出してみたりしながら、迷走や挫折、
紆余曲折を味わいつつプロの漫画家へと近づいていく青春物語です。
基本的にフィクションであると断ってはいるものの、著者である島本和彦さんの
自伝的作品として描かれていて、当時同じ大学に在籍していた、今ではアニメ界で
知らない人はいないくらいに超メジャーのGAINAXを創設するメンバー達、
そして焔燃が読んでいる当時漫画界で新風を巻き起こした
あだち充、高橋留美子両先生などの漫画、アニメ作品のカットもどんどこ出てきて、
当時の溢れる熱気を感じる快作です。

もうこの作品は個人的に面白くてたまらない作品なのですが、
何が良いって、まず焔のキャラクターがいいんですよ~
自分の才能を過剰に見積もって、少しでもその理想の自分に合致しない
ちょっとした挫折や苦労を味わうと、なんやかやと自分のプライドを保ちつつ
漫画がダメならアニメに、アニメがダメならやっぱり漫画に、とあっさり鞍替えしていくのが面白い!
「俺がその気になれば漫画家デビューなんてすぐだ」
と、漫画雑誌を彼なりに「分析」して、なぜかそう思い込んでいる焔君に、
しかし次々と次代の若き先駆者達が現れます。
そのたびに焔君は「やられた…!」とか言って、
若き人気漫画家達の活躍に身悶えたりするのです。
根拠の無い万能感。そしてそんな理想の自分像が現実の前にことごとく破壊され、
意外と大したことの無い自分に気付かされることを無意識に避けて迷走する。
この青臭~いところがいいんですよね。
散々漫画雑誌の連載作品を批評して、大した人になったつもりでいた焔が、
東京の出版社にいよいよ漫画を持ち込みに行くくだりなどはもうホントにリアルです。

そして迷もう一方の主役とも言えるのが
後にGAINAXを創設するメンバーとなる若き日の庵野秀明たち。
彼らもまた、アニメーションに新風を吹き込もうとする野心にあふれ、
特に一見奇人の庵野さんに至っては、大学の課題などで創り上げたパラパラ漫画が
「俺に比べればどうせ大したことないだろう」と思って覗き込んだ焔の
トラウマになるほどの威力を持っていて、それがために彼らもまた
既存のアニメーションが変わっていく次代のうねりの中に飛び込んでいくことになるのです。

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野望・野心をもって一旗挙げようと意気込む後のGAINAXの面々と、
大志は抱いているものの、大きすぎる自尊心を捨てられずに迷走していく焔―
物語はこの両者を対比していくような形で進んでいきます。
庵野さんの無敵すぎる凄さと、彼を擁する山賀さんたちの挑戦が描かれるからこそ、
慢心ばかりか不幸も手伝って、現実に次々と敗れて打ちひしがれ続ける焔が引き立つのです。
ていうかすっかり庵野さんに喰われているとも言っていい状況…大丈夫か?(;´▽`A``
しかしこれこそがアオイホノオ。
勿論著者の島本さんの自伝的作品である以上、漫画家デビューはするのでしょうが、
現在のダメっぷりからいかにしてプロとなっていくのか…
そしてクリエイターを目指す方ならきっと少なからず焔燃の中に、
過去の、あるいは現在の自分を重ね合わせることができるのではないでしょうか。
お薦めです!


島本和彦さんのblog → 島本の感想文
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