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阿房列車 [コメディ]


阿房列車 1号 (IKKI COMIX)

阿房列車 1号 (IKKI COMIX)

  • 作者: 内田 百けん
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2009/02/24
  • メディア: コミック


なんにも用事がないけれど、汽車に乗って大阪へ行って来ようと思う。

鉄道オタク 略してテツ―
2002年から2006年に連載された「鉄子の旅」等がヒットし、
鉄道オタクをキャラクターにすえたマンガが現在もちらほらと連載されています。
そして今回ご紹介するのはそのプチブームに先駆けること50年ほど前、
作家・内田百けんさんによる紀行文として、昭和20年代当時の旅行風景を描いた
小説を原作に、2007年~ 古風な絵柄が特徴の一條裕子さんの手によって
漫画化された作品をご紹介します。
戦後間もなくということで、蒸気機関車も今だ健在。
そして私達が「電車」と呼んでいるものが、「電気機関車」と呼ばれていた時代―
東京―大阪間が半日がかりだった当時の風景を、内田さんの妙に偏屈で頑固な
キャラクターと相まって非常にユニークな戦後の時代の鉄オタものとして興味深い内容でした。

月刊IKKIで連載。
IKKIと言えば、前述の鉄道への知識も興味も無かった女性漫画家が
筋金入りのテツに文字通り引き回されてあちこちの鉄道を乗りまくるという「鉄子の旅」。
そして「動物のお医者さん」など、女性向けのコメディ作品を描かれることの多い佐々木倫子さんが
綾辻行人さんの原作を漫画化した鉄道ミステリー「月館の殺人」を単行本化しており、
今回の「阿房列車(あほうれっしゃ)」を加えて「テツ漫画三部作」と呼称しています。
私は月館の殺人は未読で、鉄子の旅は一度拝見したのですが、それほど鉄道に対する
興味が無かったこともあり、途中で挫折していました。
今回「阿房列車」を購入しようと思ったきっかけは、昭和レトロな雰囲気に惹かれたからに他なりません。
なので本屋でいかにもレトロチックな紙のケースに入ったこの漫画を見つけたとき
その期待はいやがうえにも高まったのです(;´▽`A``

作家・内田百けんさんは、Wikipediaによると夏目漱石門下の小説家、随筆家であり、
後輩の芥川龍之介に慕われ、法政大学教授時代のかつての教え子たちが旅先で度々出てきては
その日の宿を手配してくれているという名士であったようです。
その性格は頑固偏屈かつ我侭で無愛想な人物として知られ、
それを作中でユーモアたっぷりに描写する感覚も持ち合わせていて、
旅先で時折毒づいたり、先生と慕われる立場の自分に高いプライドを持ちつつ
同行の国有鉄道職員で同じく鉄道好きの平山さんに遠慮の無い我侭をいいまくる
そのキャラクターがなんとも面白い。
第一話となる東京―大阪間の鉄道旅行を敢行した「特別阿房列車」では、
実際の旅行をしている描写は巻の最後の方に少しだけ、
それまでは家の中でふと思い立った旅行の計画を立て、
その旅行へのこだわりを滔滔と語っていく様子が描かれます。

「折角旅行を楽しむのに二等三等車などに乗れるか、一等車だ!」と
心当たりの人に旅費の工面(借金)の申し出をする際も、
「生活費を借りるような『必要に迫られる借金』は生活が破綻していることを示すので
良くない借金だが、『道楽のための借金』はどうしようもなければやめることは容易なので
悪い借金ではない」というような理屈をこねられているからその申し出も実に堂々としたもので、
おまけに返済の期日を「できるだけ先に」することまで貸主の諒解を取り付ける先生っぷりがかっこいいw
そんなこんなで旅費も確保し、お供の「ヒマラヤ山系君」こと平山さんと示し合わせて
特別急行「はと」にて、東京―大阪間の鉄道旅行に臨みます。

img590.jpg
旅行中のエピソードも紳士たることにプライドを持ち、偏屈で我侭な
内田センセイのキャラクターが炸裂し、勘違いやアテはずれ、不運によるトラブルに
見舞われる旅行をヒマラヤ山系君と共に乗り越えていったり途方に暮れたりする様子が描かれます。
作画を担当された一條裕子さんの描く内田さんの頑固ジジイっぷりと、
一見ぼーっとして粛々と内田さんのお話のお相手やフォローをしているヒマラヤ山系君が
特徴的に描かれていて面白いんですよね。
それ以外にも鉄道漫画ですので車内の当時の様子だとか、少し都会から離れると
途端に草っ原が広がる風景描写など、スケッチ風にざざっと描かれた画がなんとも
昭和レトロな雰囲気を醸し出しています。
鉄道ファンの方であれば、劇中の話もそうですが、話の最初に往路復路で利用した
鉄道の履歴が掲載されていますので、当時を想像する興味深い資料になるのではないでしょうか。

雰囲気の良いケース入りの本ということで、1冊1000円と若干割高感はありますが、
昭和レトロな鉄道と偏屈頑固センセイに興味がおありなら面白く読めると思いますよ。


一條裕子さんのHP → 一條裕子の目録

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