タケヲちゃん物怪録 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)

タケヲちゃん物怪録 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)

  • 作者: とよ田 みのる
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2012/05/11
  • メディア: コミック



タケヲちゃんは世界で一番「不幸」な女の子。
それは道を歩けば車に水を跳ねかけられ、電柱に登って工事をしてたおじさんの落としたスパナが頭にぶつかり、バナナの皮で滑った拍子にガラスのドアを突き破ってしまうほど。
だからタケヲちゃんは下校の時には全身くまなく防具を身に着なければいけなかったし、不幸のとばっちりを避けるために自分から離れていってしまう友だちも見送るしかなかったのです。
そんな調子で幼少の頃から人に避けられ、疎まれて育ってきたタケヲちゃんは幸福を知らずに育ちました。
この春晴れて高校生になったタケヲちゃん。いつものような不幸続きで早速一人暮らしを始める予定の寮に入れない不幸に見まわれ、代わりにあてがわれた築100年を数えるおんぼろアパート「百鬼荘」に住むことに。
しかしそこで出会った恐ろしくも奇妙な妖怪たちが、タケヲちゃんの運命を大きく変えることになるのです‥

ゲッサンにて連載。
今回は「FLIP-FLAP」「ラブロマ」「友達100人できるかな」などを描かれた とよ田みのるさんの新連載作品をご紹介します。
タイトルはどうも「稲生物怪録」という江戸時代の藩士だった稲生某が体験したという現存する妖怪譚からとったそうで、1話はその物語のエピソードをアレンジしているようです。

img885.jpg

人を脅かすことで飛び出る「陰の気」(その人が持つ苦しみや妬みや悲しみといったマイナスの感情が雲のような形で飛び出るもの)を喰らうことが何よりの楽しみという妖怪たち。
そこへいくと生まれついての不幸体質で、ずっと孤独だったというタケヲちゃんの溜め込む陰の気は凄まじく、妖怪たちはそのごちそうの塊のようなタケヲちゃんをあの手この手で驚かして何とかしてタケヲちゃんの陰の気にありつこうとします。‥が、それこそ怖い体験など慣れっこになってしまっているタケヲちゃん。稲生物怪録よろしく連日のように妖怪たちが我こそはと躍起になって威かしにかかるのですが全く通じず。遂に妖怪たちも万策尽きて諦めかけたその時、タケヲちゃんは妖怪たちが全く予想だにしなかったことで驚くことになるのでした。
それからは妖怪たちはあれやこれやと「タケヲちゃんの驚きそうなこと」を持ち込むのですが、彼らにとってタケヲちゃんの驚くことは全くの専門外なものだから、なんともへんてこなことになってしまう、という‥。
妖怪たちにとっては単にタケヲちゃんの極上の陰の気目当てでやっていること。‥なのだけどそれまで人に疎まれ遠ざけられてきたタケヲちゃんにとっては自分が居て良い場所、むしろ歓迎されて百鬼荘の住人になる、ということが何より居心地の良い場所になっていく‥というお話なんですね。
なんていうかな、この「勘違いしないでよね、私たち妖怪はあなたの陰の気が目当てなだけなんだからね!」っていうかんじ?ツンデレ?これが実にいいんですよね~!不幸少女というと、ともすれば安っぽい同情を誘うようなお涙頂戴エピソードがふんだんに出てくるものですが、とよ田さんのあのサバサバした絵柄だと多少出てくるシーンも有るのだけれど実にさらっとしたものなんですよね。とよ田さんの「照れ」を感じるんです。それがなんか上から目線な物言いですけど可愛いなって思うんですよね。それはひいてはタケヲちゃんや百鬼荘に住まう妖怪たち全体にも感じる。普段はツンツンしてるんだけど、時折ポロッと裏腹な本心が垣間見える。かと思えばあけすけなお涙頂戴になる流れをコメディにして思いっきり混ぜっ返してみせたりしていやらしく感じさせない。そこがとよ田さんの作品の魅力の一つかなと。

img884.jpg

そしてとよ田さんのもう一つの魅力であるワイガヤ感もまた良い。
百鬼荘の妖怪の面々の中には陰の気目当てにあれこれとタケヲちゃんにありがた迷惑な世話を焼く奴もいれば、そんな妖怪たちの姿に反発心を持つ者もいる。けれど皆ポロっとね。ある時ふと、タケヲちゃんは彼らが皆なんだかんだで心の底では憎めない奴らなんだということに気づいていくんです。このポロッと見せる感じがいいんだなあ。
「タケヲちゃんが驚くこと」も巧くできてるなあと思います。
面白いと思うのであえて何かは言いませんけど。
良い意味で単純で不器用な妖怪たちが、寄ってたかってタケヲちゃんを驚かそうとするのが良いんですよね。


togetterより。
『タケヲ ちゃん物怪録』『とよ田みのる短編集』2作品の発売日に、とよ田みのるさんが Tweet していたカラー原稿のまとめ+α
 だそうです。